キョンの性別反転SS(涼宮ハルヒの憂鬱)








確かに私は何か小さな違和感を感じていた。うん、これだけは断言できる。
いつものように朝は妹に起こされ、寝ぼけた頭で朝食や身支度を済ませ、家を出る。
そんな毎日繰り返されていた日常にさえ小さな違和感を感じていたわ。
何ていうか、心に小さな棘が刺さってるような、そんな感じ。




まあ・・・それがまさか自分の身に生じている『最悪の異変』を
知らずのうちに感じていただなんて思いもよらなかったんだけど。











学校へ行く途中に谷口と会い、下らない会話をしながら学校へと向かう。
うん、相変わらず谷口の話は特に面白いような内容でもなかったけれど。
そりゃ一年近く学校で顔を合わせてれば話題も新鮮味が無くなるのも当然か。
まあ、谷口の馬鹿のことはどうでもいいんだけどね。教室まで辿り着き、私は自分の机に鞄を置いて席に座る。
そしていつものように後ろに座っている女の子の方へと視線を向ける。
その女の子は私の視線に気づいたのか、窓の外へ向けていた視線をこちらへと移す。
同性の私から見ても分るくらい魅力的な女の子。
今日は機嫌が良いのか、『何かあったのか聞いてみろ』と言わんばかりの笑顔をこちらに向けてくる。
そんな様子を見て私は軽く溜息をつく。彼女がこういう笑顔を浮かべている時は大抵の場合、
私か朝比奈先輩に災厄が降りかかる。
しかしここで何も聞かずにスルーしてもどうせ彼女の機嫌を損ねるだけで、私には何の得もないのはこの一年近くの付き合いで分ってるつもり。

「何か良いことでもあったの、ハルヒ。
 朝からそんなに機嫌が良いなんて珍しいわね。SOS団関係でまた新しい企画でも思いついた?」

「ふふん、聞きたいのキョン。なかなかいい心がけね。
 貴女もようやくSOS団の団員としての自覚が芽生えつつあるようね」

そんな訳の分かんない心の萌芽をした覚えはこれっぽっちもないんだけどね。
むしろハルヒとの付き合い方を学んだと言って欲しいわ。
目の前の少女――涼宮ハルヒとは高校入学して以来の付き合い・・・って言えば、何だか普通の友達みたいで聞こえはいいんだけど、ね。
この涼宮さん家のハルヒさん(彼女の破天荒っぷりは皆さん既知だと思うので説明は割愛)と私が友達になったのは本当に偶然。いえ、奇跡。ミラクル。
どれくらいの確率かっていうと多分地球が他惑星とグランドクロスを起こす確率より
低い確率のような気がする。それくらい私と彼女は住む世界が違う住人だった訳。
入学当初、ハルヒは周りの女の子達と仲良くしない、色んな意味で孤立した女の子だった。
私もまあ、人付き合いはあまり良い方じゃないんだけど、彼女は別格。
異端という言葉を地で行く少女ハルヒと、どこでにでもいる普通少女Aの私じゃ
友達どころか会話も成り立たないって思ってたわ。・・・思ってたんだけど。
入学して最初の席で彼女は私の後ろにいた、そして私は中学時代からの友達がクラスには
国木田くらいしかいなかった。クラスの中に女の子の友達はおろか知り合い0。
そんな条件が重なったら、当然ハルヒに話しかけるでしょ?
まあ・・・最初の会話では思いっきり『話しかけるな』って突っぱねられたんだけどね。
本人がそう言うんだからその通りにしてあげれば良かったんだけど、
今私とハルヒの関係があるってことは、つまり私はそうしなかったって訳。
今更ながら本当に自分自身の行動に呆れるわ。
何を思ったのか知らないけど、その後も私は話しかけ続けた訳よ。ハルヒに。
話題なんて覚えてないわ。髪型がどうだの、何もかもがツマラナイだの、宇宙人や未来人や超能力者がどうだの・・・
最初は数秒で終わってたハルヒとの会話が日に日に成り立つようになっていく様子を見て谷口が驚いてたわね。
それに国木田に、あと涼子・・・うん、涼子は置いておこう。思い出したくない嫌なことまで思い出しちゃう。
とにかくそんなハルヒに気に入られた(のか今でもよく分かってないんだけど)私はSOS団という変な同好会もどきを一緒に作らされ、勿論有無を言わさず強制入団させられ、気づけば毎日ハルヒに振り回される日々を送ってるって訳。
まあ大雑把な説明だけど、こんなところが私とハルヒの関係かな。

「・・・で、今度は何?朝比奈先輩の新しい衣装でも買ってきたの?」

「そんな事じゃないわよ。もう少しその使ってない頭をしっかりと働かせなさいよね。
 あなたのそのポニーテールが付いてる頭はただの飾りなの?ほら、もうすぐ三月よ?
 三月初めの行事と言えば何がある?ちなみに大ヒントは私達の性別ね」

使ってない頭は余計よ。私は心の中で悪態をつきながらもハルヒの言葉に耳を傾ける。
今の季節は彼女の言うとおり、二月も終わりに差し掛かっている雪解けの季節。
これから三月になり、私達の高校一年生も終わりを迎えるのだろう。
思考を巡らせても私の脳内に思い浮かぶのはせいぜい春休みくらいしか出てこない。
ヒントは私達の性別。女の子の行事。ホワイトデー?

「アンタ本物の馬鹿でしょ」

いちいちうっさいわね、分かってるわよ。
ちょっとしたジョークじゃないの。あ、別にホワイトデーに期待してないって訳じゃないんだけど。
とりあえず国木田と谷口には上げたんだからお返し期待してもいいわよね。
まあ20円チョコだけど。何もあげないよりマシじゃない?
もう一人だけチョコあげた奴はいるんだけど・・・そいつのことは考えたくない。
なんていうか、普通にモテるし。どーせ私のあげたチョコなんか忘れてるでしょ。フンだ。
ホワイトデーはさて置き、三月初句の女の子の行事と言えばもちろん一つしかない訳で。まあ、私も妹いるし縁が無い行事って訳でもないんだけどね。

「ひな祭りでしょ」

「そう!ひな祭りよ!私達SOS団は桃の節句を大いに祝う義務があるのよ!!
 なんてったって私達団員のうち女の子は私、キョン、みくるちゃんにユキ!なんと五分の四よ!?
 それはもう盛大に私達の成長を祝うべきなのよ!」

椅子から立ち上がり大演説を行うハルヒにクラス中の視線が集る。もうこういうのに慣れっこになった自分が怖いわ。
大輪の笑顔を咲かせているハルヒを他所に、私はニヤニヤと突き刺さる谷口の視線を手で振り払う。
こういうときだけ距離置くなんて薄情者め。
しかしハルヒの言う通り我等がSOS団は一人を除き全員が女という見事な女所帯。
そんな見事なまでにひな祭りにおあつらえ向きなSOS団。
各行事につき必ず騒ぎを起こしてきたハルヒが何もしないはずがなかったのよね。
せめてあと一人くらい男がいたらハルヒの興奮もニ割引くらいには・・・

・・・あれ。

朝から感じてる小さな違和感が急に私に襲い掛かった。今まで感じていた小さなものではなく、とても大きな。
例えるなら海の上で浮き輪で浮かんでるとして、今までは小さい波をコツコツと受けてたんだけど、
突如大波に襲われてそのままひっくり返っちゃったような。
そんな自分でも思いっきり感じられるくらいの違和感。なんだろう、私は今どんなことについて違和感を感じていたのか・・・

「いい、今日の放課後はひな祭りについてミーティングするから遅れちゃ駄目よ!!
 キョン、アンタちゃんと私の話聞いてる!?」

「へ?あ、えっと、うん、聞いてる聞いてる。放課後に部室にいればいいんでしょ?」

私の答えに満足がいったのか、ハルヒはうんうんと頷いてみせる。
ハルヒの機嫌を損ねなかったのはいいんだけど、結局さっき何のことに違和感を感じていたのかは
分らず仕舞いとなってしまった。
普通の人ならば簡単に『別にいいか』って流すんだろうけど、私の場合はそういう訳にはいかない。
その違和感を無視したが為に私は去年の夏に何百年分も同じ日の繰り返しをする羽目になったのだから。
そんな訳で涼宮ハルヒと付き合うということは異常に対して常に敏感でなければならないのだというのが私の考え。
・・・まあ、そんなに重く考えすぎずとも、今回のことは別に大したことじゃないんだろうけど。
だって、最近のハルヒは比較的事件を起こしてないし。
それに普通人間代表である私の不思議探知能力を当てにするくらいなら有希に聞いた方が百万倍頼りになるしね。
何かあれば有希の方から言ってくるでしょうし。
ああ、一応あいつも入れといてあげるわ。ムカつくけどあいつ何だかんだ言って妙に鋭かったりするし。
朝比奈先輩は・・・まあ、除外。






 おわり
















女舞人(それは舞い散る桜のように)









絶句。今の俺にはそんな感想しか思いつかなかった。






窓から差し込む日差しを受け、気だるい己の身体に鞭を打ち、つい先程俺は何とか目を覚ました。そこまではいい。
だが、目を覚ました俺の横で寝ている女――こいつは一体誰だろうか。
というか何故に俺の部屋、俺のベッドで知らん女が寝ているのか。
長い黒髪が特徴で、容姿もハッキリ言ってかなり良い。どちらかというと可愛いというよりも綺麗系に属する部類だろうか。
・・・ただ、着ている服のセンスがハッキリ言って凄すぎる。
上下共に体育で使うようなジャージに、背中部分には『女気一本』などと訳の分からない漢字が書かれている。
こんな自己アピールも甚だしい服を愛用するのは正直俺くらいだと思っていたが・・・コイツは女として色々と問題があるんじゃなかろうかと思う。
そんな現実から目を逸らすように下らないことを考えていると、女が目を覚まし、寝ぼけ眼でこちらをじっと見つめている。
お互いに言葉は無い。そして女はゆっくりと周囲を見渡し始める。
起きると何故か目の前に見覚えの無い男がいるのだ。恐らく現状が把握出来ずにいるのだろう。


落ち着け、俺。こういう時こそ慌ててはいけないと相楽先生も仰ってたではないか。
『見知らぬ女が寝床に居ても決して動じてはならぬ』と。『酔った勢いであってもそれは愛なのだ』と。
・・・いかん、どう考えてもこれは何か違う気がする。
さて。俺が今、目の前の女にやられて困ることは泣き叫ばれ、警察に駆け込まれることだ。
無論、神に誓って俺は何も女にやっていない。
だが、現状を見るだけでは『女を連れ込み、無理矢理』といったような、そう取られても仕方が無い。
つーか、『起きたらお前が寝床にいたんだ』などと言って誰が信じる。
そんな馬鹿話を誰が信じるものか。ぶん殴られて捕まり精神鑑定されるのがオチだ。
ならば、俺はすべきことは一つ。すなわち身の潔白を証明し、何事も無かったように女に家に帰ってもらうことだ。
そのことを早急に伝えねばならない。俺のそんな意思が伝わったのか、目の前の女も俺の方を真剣な瞳で見つめている。
俺は己の無実を証明すべく、意を決して女に口を開いた。



「お前は処女だ」


「アンタは童貞よ」


・・・このアマ、ケンカ売ってんのか。

















桜井舞〜例えばこんな性転換モノ〜











目の前のジャージ女から発された言葉に、俺は先程の己の行動理念をゴミ箱へと捨て去り、猛烈に反論する。

「おい女、勝手に人の部屋で寝てるという不法侵入を犯した上に人を童貞呼ばわりか。
 ぷじゃけるなよ?どこの家出娘だか知らんが俺様の聖域に侵入した己の不幸を呪うがいい、この出会い系女め」

「ちょ、アンタね。ふざけるのはそっちの方よ。大体ここはアタシの部屋じゃない。
 しかも開口一番に処女だろですって?アンタそれパワハラじゃないの。
 ふざけた男は真地だけで充分間に合ってるんだけど」

「マチだか何だか知らんが、この部屋がお前の部屋だと?
 馬鹿を言え、この部屋は俺がお袋に頭を下げてようやく住む事を許された神聖なさくら荘だ。
 まさか貴様、俺様と青葉ちゃんのお隣関係を潰そうという新手の詐欺師か?
 ああ、上の部屋の雪村との関係は遠慮なくお前にプレゼントしてやるから早く出て行け」

「ふざけてるのはアンタの方だって言ってるでしょ?いい加減にしないと業務用洗濯機で殴るわよ?
 ここはアタシが、あの暴力クソ親父に言って選んだ部屋なんだから。
 それに誰よ青葉って。ウチのお隣に住んでるのは良い子過ぎて誰かに騙されないか将来が少し不安な若葉君よ。
 まあ、上の階の真地・・・雪村との関係は私も要らないけど・・・」

全然話が合わず、何を言ってるのかサッパリ出来ない女に思わず溜息をつく。
だが、どうやらこの女は頭が少し可哀想な人らしい。
多分、現代のストレス社会が生んだ被害者なのだろう。そう考えると、俺も何となく少しだけ優しい気持ちになれた。
そして、落ち着いて女の言ってることの理解に努める。とりあえず女は俺を訴えたり、性犯罪者扱いするつもりはないらしい。

「なあ、お嬢さんや。俺もこれ以上お前の妄想に付き合っている程暇じゃないんだ。
 俺には家出少女兼フリーターのお前と違ってこれから学校があるんだ。
 住居不法侵入で訴えるのは勘弁してやるから、名前を名乗ってさっさと出てけ。な?
 そんなに悪い条件じゃないだろ?」

「ぷ、ぷじゃけないでよ!?何でアタシが自分の部屋で寝てるだけで訴えられなきゃならないのよ!
 アンタこそ訴えないであげるから、さっさと部屋から出てってよこの変態。
 私みたいな絶世の美女の部屋に忍び込んで、何もお咎めなしだなんて奇跡だと思いなさいよ?」

「あー・・・正直言ってお前、すんげー面倒。早く名前を言え。で、さっさと帰れ」

「名前言えばアンタ帰るの?この部屋から出て行ってくれるワケ?」

「あー、出て行









おわり















ハヤテ×サクヤ(ハヤテのごとく!)








「それで、結局のところ自分はナギのことをどう思ってるん?」

「どう思ってると言われましても・・・お嬢様は僕にとって大切な人であり、命の恩人であり、ご主人様である訳で・・・」

「あ〜!もう!ちゃうちゃう!そんな枠組みガッチガチな答え誰も聞いてへんわ!
 自分はナギに惚れとるんかどうかを聞きたいワケや。
 ええんやで?今ならナギもマリアさんもおらんからお前がロリコンっちゅー真実はワシの心の中だけにしまっといたる」

「いえ、そんな凄い怪しい笑みを浮かべられながら言われても・・・お嬢様にはそういう感情はありませんよ。
 第一、僕がお嬢様に惚れてたら犯罪じゃないですか。流石に少年誌的にそれはマズイかと・・・」

「なるほどな。最後の方は聞かんかったことにしとくとして、自分はナギは興味ないんか。
 なら好きな女とかおるんか?マリアさんとか、サキさんとかワシから見てもええ女はいっぱいおるで?」

「だ、だから何でそういう話に持っていこうとしてるんですか!?
 確かにマリアさんもサキさんも綺麗ですけど、そんな、好きだなんて・・・」

「ほほう?さっきのナギの時とは違った反応やな。やっぱりハヤテは歳上の方が好きなんかな?
 まあイメージ通りと言えばその通りなんやけどなあ。もっとこう、捻りっていうかオチが欲しいわ自分。
 それじゃあ最後の質問何やけどな?」

「ワシと付き合う気はあらへんか?」

「はえ・・・?」

「花も恥らう乙女にこんな台詞を二度も言わす気か自分は!!!しっかり耳の穴かっぽじって聞いとかんかい!!
 それで、どうや?好きな女おらへんのやろ?」

「あ・・・す・・・好きな女の子はいませんけど・・・でも」

「歳か?ナギと同じで歳の理由で自分は意を決して告白した乙女の想いを踏みにじる言うんか?
 はっきり言うで。自分のそれはただの『逃げ』やで?自分、思いっきり『人から好かれること』を避けようとしとるやろ」

「え・・・」

「本当は自分、ナギの好意を気付いとるんやろ?ナギが自分のこと好きやってこと。
 けど何でか知らんが自分はその想いに気付かない振りをしとる。
 いっつもヘラヘラ笑って、仮面被って誤魔化して、本当の自分に嘘ついとるんや。違うか?」









おわり













ゴレンジャイパロディ(それは舞い散る桜のように)





ひかり「そういえば今度新作出るわよね〜・・・タイトル何だっけ?」

かぐら「『俺たちに翼はない』ですよ!私達の『それは舞い散る桜のように』を作った方がシナリオされるから
     今の時点でもう楽しみでしかたないですよね〜!」

ひかり「甘いわよかぐらちゃん。多分発売と言ってもあと一年以上、下手すれば二年後だってありえるんだから」

かぐら「う・・・で、でもでも!時間をかければかけるほど面白い作品をきっと作ってくれますよ!私信じてます!」

舞人「う〜ん・・・流石はかぐらちゃんだ!何処かの眼鏡アマゾネスとは違って言いこと言うね。
    そう!ファンたる者それくらいの気概でいかないとね!」

かぐら「舞人さん!?いつからそこにいたんですか!?」

舞人「ふふふ、振り向けばそこに、かな?
    新作発売ともなれば前作主人公である俺を外しては会話は始まらないだろ?」

ひかり「十分始まってたわよ。あんた正直要らないわ」

舞人「ぐ・・・何を馬鹿な・・・俺をなくしてそれ散るは語れないでしょうが!
    むしろそれ散るイズ俺!聞くところプレイヤーの八割が俺のファンでヒロインは二の次だという!!」

ひかり「あんたね、つくならもっとマシな嘘つきなさいよ。
     あんたなんて正直星崎や雪村のおまけよオ・マ・ケ。もう帰ったら?」

舞人「な、なんだとこらあああああああああああ!!!!!!!!」

かぐら「きゃあああああ!!!!??ま、舞人さんが襲うのは確か台本では結城先輩の方でしたけど!!?」

舞人「それはやっぱり無理だ!!!!!
    俺はひかり姐さんを押し倒すほど命知らずでもましてやマニアックではないんだ!!!」

ひかり「あんたね・・・・」

????「待ちなさい!!!!!!」

舞人「!?誰だ!!」

希望「星崎希望!!」

小町「雪村小町!!」

つばさ「八重樫つばさ」

こだま「さ・・・里見こだま・・・」

青葉「森青葉だよ!!」

全員「五人揃って・・・・ヒロインジャイ!!!」

希望「さあ!二人とも早く逃げて!!」

かぐら「あ、ありがとうございます〜!!!」

希望「早く逃げて!!」

かぐら「ありがとうございます〜!!」

希望「逃げて〜!!!!」

ひかり、かぐら共に二人とも逃げる。

希望「さあ!!待たせたわね!勝負よさくっち!!」

舞人「・・・・・待て」

雪村「?どうしたんですかセンパイ!どこからでもかかってきて下さいよ〜!
    あ、でもでも!やっぱり出来れば優しくするのが男としての最低限のマナーだと私は思いますよ?」

舞人「待てえーーーーーー!!!!!!!お前ら全員正座!!!!!!!!!」

全員渋々ながらも座り込む。

舞人「違う」

こだま「え?」

舞人「お前らおかしい。お前ら、何?」

希望「だから、さっきも言ったじゃない!五人揃って〜・・・」

全員「ヒロインジャイ!!!」

舞人「だから待てっつっとんじゃーーー!!!誰が叫べと言った誰が!!!大体ヒロインジャイって何だよ?」

小町「ですから、可憐なヒロイン五人が悪を倒していくというちびっ子向け戦隊モノをですね・・・」

舞人「そこ!俺はそこをちょっと聞きたい!!
    お前らちびっ子向けとか言ってるけどな、星崎、お前のその格好は何だ?」

希望「え、これ?私がバイトで働いてる甘味屋さん『なが沢』の制服だよ。可愛いでしょ〜」

舞人「で、雪村、お前のその格好は」

小町「見たままだと思いますが一応説明いたしますとこれは私とセンパイがいつか迎えるであろう
    結婚式の日に着ていこうと思っているウェディングドレスなんですよ〜!
    いえいえ、実はこれ、ただの写真撮影用のレンタル品なんですけどね!」

舞人「・・・・八重樫、お前は」

つばさ「ん〜・・・まあ、ウェイトレス?シャルルマ―ニュの人気の高い制服で〜す」

舞人「それじゃこだま先ぱ・・・・青葉ちゃんは」

こだま「ど、どうして私を無視するの!?」

舞人「いや・・・まさか本当にネバーランドの住人になられても俺には頑張ってとしか言えないんですけど・・・」

こだま「しょ、しょうがないじゃない!
     私って普段着とか制服とか水着とか除けばその・・・・ピーターパンしかないんだもん・・・・」

舞人「・・・・・・・で、青葉ちゃんは」

青葉「私?えへへ、(ぴー)学生の時体育で使ってた『すくーる水着』だよ!結構動きやすいんだよお兄ちゃん」

舞人「なるほど。で、改めて聞くがヒロインジャイって何?キャバクラとか風俗店で働く集団?」

希望「違うよ!だからさっきも小町ちゃんが言ってたじゃない!
    可憐なヒロイン五人が悪を倒していくというちびっ子向け戦隊モノだって!」

舞人「いや、だからそこがおかしいっつーの!!まず服装!お前らみたいなバラバラで統一感のない服装、
    しかも喜ぶのは一部の危ない趣味の方々だけだということが分からんのか?
    そもそもその時点でちびっ子向けじゃないだろ」

小町「やはり統一感を出すために全員猫耳着用したほうがいいって私も提案はしてみたんですけどね」

舞人「だれもそんなこと言ってねえっての!!お前らな、よく考えてみ?
    お前らが小さい頃見た戦隊モノでウェイトレスやら水着やら挙句の果てには
    ウェディングドレスで戦ってるヤツいたか?」

希望「う〜ん・・・でもそれはやっぱり時代は変わっていくものだと思うし、
   何より一人一人の個性を見てもらいたいし・・・今の時代、人と同じじゃ雇用してもらえない世の中だよ?」

舞人「誰も就職の話なんてしてねえよ!ようは子供達から見てどうだってことが言いたいんだよ!!
    お前らが戦隊って言って分かる子供何人いるよ?」

つばさ「や、まあ別に分からないなら分からなくてもいいかなって。
     百人見て百人に理解してもらおうとは思ってないし」

舞人「誰一人分からんわ!!!







 おわり











舞人×小町SS(それは舞い散る桜のように)





「やっぱり恥ずかしいべさ・・・」

「あれ?ウチのクラスの誰かに何か用かな?」

「あ、え、えっと・・・さ、桜井舞人先輩はいらっしゃいますか・・・?」

「さくっち?さくっちならさっきまで死にそうな顔で机の上に突っ伏してたんだけど・・・」

「あ、あの・・・大変申し訳ないのですが、もし桜井先輩が帰ってきたらこのお弁当を渡して頂けないでしょうか・・・
 た、多分二年の雪村からと言えば通じて頂けると思いますので・・・」

「・・・へ?お、お弁当?貴女が、さくっちに?」

「は、はい・・・」

「や、八重ちゃん八重ちゃーーん!!!た、大変だよーー!!!
 すっごく可愛い女の子がさくっちにお弁当を届けにきてるよーーーー!!!」

「や、ごめんね何か騒がしくしちゃって。
 さくっちはまだ帰ってきてないんだけど、多分もうすぐ食堂辺りから帰ってくるから。
 と・こ・ろ・で。もしかしてキミ、さくっちの彼女とか?」

「ええっ!?あ・・・は、はい・・・」

「へええ・・・キミがあのさくっちに恋をさせた女の子って訳かあ・・・うん、ちょっと興味あるね。
 これから昼休みの間に何か用とかある?予定とか」

「い、いえっ・・・何も・・・」

「よおーっし!それじゃあ一名様ご案内〜!ヤーマー!
 ちょっとさくっちのことで面白い話が聞けそうだから、さくっち周辺の席を全部陣取っといてー!」

「え・・・ええええ!?」

「さ、こっちの席に座って雪村さん。もうすぐ舞人の奴帰ってくると思うからさ」

「あれ、相良君この娘とお友達だったり?」

「いや、全然。ただ顔と名前は色々ととある事情があって知ってるってだけ。
 現に雪村さんは俺のこと全然知らないと思うよ」

「そうなんだ。あ、雪村さん・・・だっけ。私は星崎希望、よろしくね」

「お、それじゃあ俺も。俺は相良山彦。一応舞人のダチやってるんでヨロシクね」

「私は八重樫つばさ。一応さくっちと学級委員長やらせてもらってるよ」

「あ、えっと・・・雪村小町です、そのっ、よろしくお願いします・・・」






 おわり











透×渚SS(こんな娘がいたら僕はもう・・・!!)







「おかえりなのだ〜、上手くやりやがってこんのムッツリ助平が・・・あぶっ!!」

渚と別れ、アパートの扉を開けるなり視界に入ってきたナマモノを一蹴して俺は畳へ転がり込む。
あいつの笑った顔、言葉、伝えられた想いの全てが俺の全身に温かく浸透しているのが感じられた。

「いきなり蹴るとは酷いのだ〜!!
 我輩は透のストレス解消用ペットではないのだぞ!加えて言うならその辺の動物でもないのだ!
 我輩は神だから丁重に扱えもっと大切に扱うのだ!いい加減にしないと動物保護団体に訴えるのだ!」

「お前それ自分で動物ですって言ってるのと同じだからな」

「ウルサイのだ!折角人が透の新たな門出を祝してやっていると言うのに。
 彼女出来たんだろ?ヤッたんだろ?え?このこの!」

「・・・おい、まさかとは思うが」

ススムの言葉に思わず反応してしまう。
まさか例の訳の分からん力を使って渚の心を操ったんじゃないだろうな。

「何を怒っているのだ徹。今回に限って我輩は何の手も貸していないのだ。
 黒澤透と大音渚は我輩の力なんか必要とせずに自然に求め合ったのだ。そんなことホントは分かってる筈なのだ」

「ちっ・・・そうかよ」

俺の考えを見透かされたような気がして思わず視線を背ける。
ということは渚の奴は・・・やっぱり俺のことを本当に信じてくれてるのか。
俺があんな問題を起こしても。どんなに周りが俺を蔑んでも。それでも俺を信じてくれるのか・・・
俺は何も事情も説明していないのに。何も話していないのに。それでも俺のことを好きでいてくれるのか・・・
昔と変わらず、今でもなお真っ直ぐに俺のことを見てくれるのか・・・

「本当に、馬鹿な奴・・・」

「なんだとー!!透にだけは言われたくないのだー!!」

「お前じゃねえよ。つーか今考え事してんだからこの部屋から出てけ。
 冥王星が公転周期満たした頃に帰ってこい」

「しょうがないのだ〜、他ならぬ透の頼みなら聞いてやるのだ・・・
 って、それって我輩にそのまま消えろって言ってるのと同じなのだ!!」

ちっ、気付きやがったか。猫の分際でテレビや雑誌なんか見るから要らん知識が付くんだ。

「透、何を悩んでるか知らないが我輩に相談するのだ。そうすればきっとたちどころに解決すること間違い無しなのだ」

「お前に話したところでどうしようもねえよ。人間様の問題が猫に解決できるか」

俺は寝転がったまま、ススムから顔を背ける。
この馬鹿に相談なんかしたところで、どうしようもない。悩みの答えなんて初めから出てるからな。
俺は、やはり渚に本当の事実を伝えることは・・・

「透は渚から逃げているだけなのだ」

「・・・何?」

ススムの言葉が一瞬俺の心に抉りこんだ。
先ほどまでのススムの軽口とは違う、明らかに意思を込められた言葉に俺は疑問符を返すのが精一杯だった。

「透は怖いのだ。また真実を告げたとき、相手に信じてもらえないことが。
 蔑まれることが。信じていた者に裏切られることが。
 そして恐れているだけなのだ。自分のことを好きだと言ってくれた渚が遠くに行ってしまうかもしれないってことが」

「てめえ・・・やめろ」

「自分が悪くないと沙紀に告げた時に信じてもらえなかった。誰よりも信じていた沙紀に信じてもらえなかった。
 それがまた再び起こるとも限らない。渚が自分を信じない。
 再び大切な人に信じてもらえない。そんなことを恐れているのだ。
 だから本当のことを告げられない。沙紀に迷惑が掛かるから、何かの拍子で沙紀が事実をしれば
 傷つけてしまうからと言い訳を繕って逃げ道を作る。それが透の本音なのだ」

「ススムッ!!!!」

思わず起き上がり、ススムに掴みかかったが話を止めようともしない。
そしてススムの言葉から思い出したくも無い記憶がとめどなく汲み上げられてくる。

『なんで、なんでこんなことをしたのっ!?』

『大会に出たい気持ちは分かるけど・・・
 なんで暴力なんか振るったの?ちゃんと説明して!』

『どうしてこんな・・・酷いことをしたのよ・・・』

記憶の沼に押し込めていた負に塗れたモノがフラッシュバックされていく。
やめろ・・・今更こんなことを思い出させるな・・・こんな・・・残酷すぎる光景を・・・

「透、我輩は思うのだ。それは渚への想いを自分の弱さで押し隠そうとしている透の弱さなのだ。
 確かに透は傷ついてきた。そんな行動も仕方ないのかもしれない。でも、その行動は渚を傷つけるだけなのだ。
 話してもらえないということは、渚を本当の意味で信じていないということ。つまりは沙紀が透に取った行動と同じなのだ。
 沙紀だって透のことを信じようとはした。けれど、心から信じることは出来なかった。信じることを許さなかった。
 透がそんなことする筈はないと知っていたのに。己の欲望の為に理不尽な暴力を振るう訳がないと知っていた筈なのに。
 透に傷つけられた人々、現場の惨状、他の部員達の証言、多くの逃げ道を作って
 沙紀は最後まで信じることが出来なかった。今の透はそんな沙紀と全く同じなのだ」

「あ・・・・」

――同じ。
俺も渚を信じていない。
だから話せない。再び傷つくのが怖いから話せない。話さない。
だから告白されたときも返事を返せなかった。怖い。触れるのが怖い。再び傷つくのが怖い。
ススムの言葉に、何一つ反論すら出来ない。それほどまでにススムの言葉は俺の心の最奥を抉っている。

「別に透が悪いとは言うつもりはないのだ。けれど、渚はそれでも透を信じたのだ。
 今の学校で透を信じて、透に想いを告げて、透と仲良くする。それがどんなことを意味するのか透なら分かる筈なのだ。
 恐らくは渚はこれからツライ目にあう。大変な目にあう。
 本来ならば、生徒会にいて透と関わらなければ何も苦労することも無いのに。
 それでも渚は透を好きだと言ったのだ。信じてると言ったのだ。そんな渚に、透は今のままで本当にいいのか?」

「俺は・・・」

「一日よく考えるのだ。そして答えを出すのだ。
 少なからず、渚は待っていると思うのだ。透が本当のことを教えてくれる、その日をいつまでも」

そう言い残して、ススムは俺の手からするりと抜け出し、窓の外へと出て行った。

「くそ・・・好き勝手言いたいこと言いやがって・・・」







 おわり













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